<今年読んだ本 138>
『小惑星探査機 はやぶさの大冒険』山根一眞/マガジンハウス
『メタルカラーの時代』で有名な山根一眞さんの著書です!小惑星イトカワに着陸して地球帰還に成功した小惑星探査機「はやぶさ」の開発と運用について、取材記録とインタビューでわかりやすくまとめられている本です。
小惑星探査機 はやぶさの大冒険
山根一眞
マガジンハウス 2010-07-29
売り上げランキング : 678
Amazonで詳しく見る by G-Tools
asin:483872103X
感想:ものすごいおもしろかったです!宇宙は夢あるねー!!この本は2010年7月29日(微粒子の分析結果発表前)に発行されたものですが、「カプセル内の微粒子は小惑星イトカワのものだった」というニュースを知ってから読んだので、感激もひとしおです。
打ち上げから7年間、ひとりで宇宙を旅したはやぶさありがとう。
得た知識
- 小惑星イトカワの形はラッコに似ている。
- 小惑星イトカワの表面の地形には「内之浦」「淵野辺」「ウーメラ砂漠」「イトカワ富士」などの地名がつけられた。
- JAXAの正式名は「独立行政法人宇宙航空研究開発機構」。2003年に、「宇宙科学研究所」「宇宙開発事業団」「航空宇宙技術研究所」の3つの機関が統合されて設立された。はやぶさはもともと宇宙科学研究所のプロジェクトだった。
- はやぶさの推進装置である「イオンエンジン」は、キセノンガスを推進剤とし、イオン化したキセノンを噴出して推進力を得るもの。その推力は、わずか1グラム(一円玉を地球が引っ張る力とだいたい同じ)。でもエネルギー効率はものすごく良い。イオンエンジンでちょっとずつ加速して、時速10万キロメートル以上の速度に達した。宇宙技術ってすごいねー
- はやぶさは、打ち上げから約一年後に「地球スウィングバイ」を行い、方向転換とスピードアップに成功した。
- はやぶさが小惑星イトカワに着陸する前に、位置の基準となる「ターゲットマーカー」という球体を、イトカワ表面に落とした。小惑星イトカワは重力が非常に小さいので、落としたときに跳ねて宇宙へ飛んで行ってしまうのを防ぐため、ターゲットマーカーはジャグリングで使うお手玉のような構造(中に小さな粒が詰まっていて、衝撃を分散し、跳ねるのを防ぐ)が採用された。ターゲットマーカーのひとつには、88万人の名前が刻みこまれていた。ロマンチックですねー。
- イオンエンジンの「中和器」という部品が不調になり、地球帰還がピンチになったことがあった。で、はやぶさのプロジェクトマネージャーの川口さんという方が、はやぶさの地球帰還を祈願するため、岡山県の「中和神社」に祈願に行った。おもしろいエピソードですねー。