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『莫山日記』を読みました!

<今年読んだ本 8>
『莫山日記』榊莫山毎日新聞社
本格焼酎「よかいち」のCMの「莫山先生の莫山発言」や、TBS『ダウトをさがせ!』の「ダウト一筆莫山」のコーナーでおなじみの、書家・榊莫山先生の著書です!80歳を越えられている莫山先生の、三重県の山の中での日々の暮らしが綴られた本です。

莫山日記莫山日記

毎日新聞社 2009-11-25
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感想:おもしろかったです!素朴な文体が非常に魅力的です!庭に咲いている花や、畑の野菜など、植物に関する話が多めです。まるで仙人のような素朴さ加減だと思います。これは莫山先生にしか書けない文章だろうなーという感じです。こんな文章が書ける80歳になりたいです。
そして文章だけでなく、莫山先生の書や絵の作品がけっこうたくさん載っています!「寒山十得」とか、味わい深いです。
本文中で述べられているのですが、莫山先生は、作品の墨の色を良くするために、作品を書く日の天候にもこだわっているそうです。薄い宣紙という紙に書く場合は、天気の良い日の昼の光の中で書くのが一番なんだそうです。墨の色かー。ダイソーの墨汁とは天と地ほど違う色なんでしょうね。莫山先生の作品をいちど生で鑑賞してみたいです。


文章の内容は「日記」というよりエッセイ的な感じでして、特に、各文章の最後の1文が素晴らしいんですよ!文章のまとめとして、淡々とした情報がサラリと書かれています。
節分と立春について書かれた文章の最後の一文は

中国の歴方では、冬至を一年の起点として、それから四十五日めを、立春としている。

というものです。また、「ササユリ」という植物について書かれた文章の最後の一文は

でもこのササユリは、日照不足でも、日が当たりすぎても、咲いてくれない。繊細で気むずかしい花である。

です。この、最後に淡々とした情報を書いて文章をしめくくるというのが、たまらなく格好いいと思います!『枕草子』で「うつくしきもの」の最後に「かりのこ。瑠璃の壺。」と付け加えてあるのにも似た、心に浮かんだことを飾らずに書いていますよという“つれづれなるままに感”みたいなものが出ているのではないでしょうか。すばらしい。さすが莫山先生。


あと莫山先生のお孫さんは平井堅と高校の同級生だったんですって。